コラム2016.12.27
ピコ太郎「PPAP」のゲームアプリ「Pineapple Pen」はどれくらいダウンロードされているのか?

本年話題となったエンターテイメント・コンテンツとして、ピコ太郎の「PPAP」が挙げられます。その関連動画を含めたYouTubeでの累計再生回数は、集計期間1週間で1億3,400万回を超えて世界第1位を記録し、さらに全米ビルボード・トップ100に入った「世界最短曲」としてギネス世界記録にも認定されました。
まさに2016年の大ブレイクコンテンツと言えます。実はこの「PPAP」の大人気をいち早く予測し、世界規模で大成功しているスマートフォン・ゲームアプリがあります。それがフランスのインディーゲームデベロッパー「Ketchapp」社が2016年9月29日にリリースした「Pineapple Pen」です。
今回はこの「Pineapple Pen」ゲームの特徴についてご紹介します。
「Pineapple Pen」は誰でもマニュアルなしで遊べる無料ゲーム
まず「Pineapple Pen」について説明すると、このゲームは非常にシンプルな無料のカジュアルゲームです。特徴的なのは、画面が直観的なUIで構成されているため、誰でもマニュアルなしで簡単に遊べる内容になっています。ゲーム操作は、AppleやPineappleを刺すためにペンをタップするだけで、さらに言語は英語ですが、英語がわからなくても全く問題なくゲームを進められる内容になっています。 「PPAP」の人気を最大限利用し、このような誰でも簡単にプレイできる要素を加えたことが、全世界でヒットした要因になったと考えられます。
このアプリのビジネスモデルは、広告を表示させないアプリ内課金のサービスも用意していますが、大半は広告モデルで収益を上げていると思われます。またその広告内容も戦略的で、ゲームスタート時には自社他アプリの広告をインタースティシャル(全画面広告)で表示し、ゲームプレイ時にはフッターに他社バナー広告、またゲームオーバー時にも他社の広告を再度インタースティシャルで表示しています。
「Pineapple Pen」の累計ダウンロード数は2000万以上
2016年9月29日から12月19日までのダウンロード数をプラットフォーム別で比較した場合、iOSの累計ダウンロード数は965万、Androidが1,294万で無料のカジュアルゲームとしては驚異的な数値となっています。 また国別で見た場合、iOSのトップはイギリスで2位にアメリカが続いており、この2カ国が他を大きく引き離しています。iOSトップ20の大半は北米、ヨーロッパの国ですが、アジアではフィリピンが6位、日本が8位、ベトナムが9位に入っています。 Androidではランキングが異なり、トップはフィリピンで、次いでドイツ、ポーランドが続きます。Androidでも大半は北米、ヨーロッパの国ですが、トップ20位以内に入っているアジアの国はフィリピンと韓国のみで、日本はトップ20には入っていませんでした。


「Pineapple Pen」の成功は先見性と開発スピード
最後にこの「Pineapple Pen」を開発した「Ketchapp」社について簡単に説明すると、「Ketchapp」社は、2014年設立のパリを拠点としたインディーゲームデベロッパー。他の人気のアプリのアイディアを上手く改良することによって成功してきた会社で、代表作は全世界7億のダウンロード数を達成したパズルゲーム「2048」です。このような世界的ヒット作を開発しているため、今年の9月にフランスの大手ゲーム会社Ubisoftに買収されました。 今回の「Pineapple Pen」の成功は、何と言っても「Ketchapp」社のヒットするコンテンツを見極める先見性とゲーム開発スピード。さらにどんなアイディアでも即ゲーム化できるゲームエンジンの保持と言えます。今回のゲームリリースまでの経緯を時系列で調べてみると、
- 2016年8月25日:「PPAP」がYouTubeで公開
- 2016年9月28日:ジャスティン・ビーバーが「PPAP」をツィート
- 2016年9月29日:「Ketchapp」社が「Pineapple Pen」アプリをリリース
「PRIORI DATA」とは
「PRIORI DATA」は、2013年設立、ドイツ、ベルリンに本社を持つ、スマートフォンアプリ市場分析データ会社です。Apple App Store、Google Play上でランキングされている全アプリの推定ダウンロード数、売上金額データを提供しています。 提供データ可能国数は57カ国で、ゲーム・サブカテゴリを含む全カテゴリのデータを提供可能です。スタートアップのアプリ開発会社でも購入できる価格帯で、無料トライアルも可能です。国内ではCESA監修「CESAゲーム白書2016」、モバイルコンテンツフォーラム監修「スマホ白書」、「ファミ通モバイルゲーム白書」の公式モバイルデータとして採用されています。 詳しくは、www.prioridata.netをご覧ください。