ガチャはギャンブル?アプリの海外展開・カスタマーサクセスに影響する各国のルートボックス規制問題まとめ

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ガチャはギャンブル?アプリの海外展開・カスタマーサクセスに影響する各国のルートボックス規制問題まとめ

世界中で、ルートボックス(ガチャ)のギャンブル性について議論が起こっています。EU圏では実際に政府関係機関が違法と発表するケースも出てきました。そこで今回は、国内、海外で起こったルートボックスの問題について時系列で振り返りました。海外においてアプリの展開を考えている企業にとっては注目し続ける必要のある問題を解説します。

改めてルートボックス・ガチャとは

ゲーム内のアイテムなどを購入(課金)できるシステムをマイクロトランザクションといい、ルートボックスはその一種です。現金やクレジットカードで、ゲーム内のアイテムそのものでなくアイテムの入った箱を買い、箱からアイテムがランダムで出る仕組みになっています。
一方、ガチャとは、購入(課金)する対象がアプリ内の通貨で、それで何が出るか分からないガチャをする権利を得ることができます。
つまり、ガチャの仕組みはルートボックスの仕組みに包括されると捉えられることが多いのです。

ゲームによっては、希少性の高いアイテムは、アイテムそのものやアカウントの売買が可能なことからギャンブルにあたると見られる場合があります。日本の多くのゲームで導入されている「ガチャ」も確率に沿って出てくる仕組みが実態としては賭博に該当すると見られて議論になっています。

国内のコンプリートガチャ問題

日本で「ガチャ」の問題が大きく取り上げられるようになったきっかけは、2012年5月5日付の新聞報道に始まります。消費者庁がソーシャルゲームのコンプリートガチャ()を違法懸賞と問題視し、中止要請すると報道されました。
この報道の連休明けの5月7日、ソーシャルゲーム関連会社の株が軒並み下落。「コンプガチャショック」と呼ばれました。

コンプリートガチャとは、特定のアイテムをガチャで一式揃えることで、その報酬として受領できる特別なアイテム(多くはより希少性が高いレアアイテム)を得る仕組みのこと。コンプガチャとも呼ばれます。

この報道を受けて、5月9日、NHN Japan株式会社、グリー株式会社、株式会社サイバーエージェント、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社ドワンゴ、株式会社ミクシィのプラットフォーム事業6社が合同で、各社で現在運営しているソーシャルゲームのコンプリートガチャについて2012年5月31日までに終了、以降は新たにコンプリートガチャを行わないこと、新規にリリースするゲームについても中止する方針であることを決定したと発表しました。

参照:コンプリートガチャの取り扱いに関するお知らせ / mixi

続いて5月10日、バンダイナムコグループも「コンプリートガチャの取り扱いについてのお知らせ」を発表し、グループ会社が配信するソーシャルゲームでのコンプリートガチャを5月31日までに終了し、全てのコンプリートガチャを中止することを決定しました。
他のプラットフォーム事業者も次々とコンプリートガチャの新規提供を行わないこと、既存のものも5月をもって終了する方針を発表し、業界全体としてコンプリートガチャを自主規制する流れになりました。

なお消費者庁は、5月18日に「オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について」を改めて発表し、コンプリートガチャならびに類似サービスは景品表示法に抵触するとして違法であるとの見解を示しました。

海外のガチャ問題

一方海外では、2017年11月17日に、エレクトロニック・アーツ社がPC、PS4、Xbox One向けに発売した「Star Wars バトルフロント II」のクレートと呼ばれるルートボックスが問題となり批判が巻き起こりました。

「Star Wars バトルフロント II」騒動

「Star Wars バトルフロント II」では、クリスタルと呼ばれるものを課金して入手し、そのクリスタルを消費することで、クレートが出来るようになります。クレートではプレーヤーが使用するキャラクターの能力を向上させるアイテムを手に入れることができるため、より多くのお金を払ったプレイヤーが有利になると一般発売前から指摘されていました。

結局「Star Wars バトルフロント II」は、一般発売のわずか数時間前にゲーム内課金システムをすべて停止した状態でサービスを開始する旨を告知し、サービスを開始しました。

「ルートボックス」に対する動き

それまでにもルートボックスのアイテム課金方式は議論の対象となっていましたが、この「Star Wars バトルフロント II」の問題で一気に批判が広がり、2017年12月20日には、Appleが「App Store審査ガイドライン」を改訂しました。

これにはルートボックス等の方式を採用する場合は、どのアイテムがどれぐらいの確率で入手可能なのかを明示するようにというルールが追加されされています。審査ガイドラインに沿わないアプリは審査で却下、App Storeから削除されるようになりました。

スマホゲームにかなりの割合で取りいれられているルートボックスは確率が明示されていないものも多く、各社とも対応が必要となりました。

ルートボックスを「賭博ではない」とした国々

ルートボックスに対する規制が広がる中で、各国とも「ルートボックスは賭博か否か」という判断が必要になってきました。

■フランス

フランスでは、2018年7月5日にギャンブル規制機関ARJELが2017年から2018年にかけての活動報告の中で、「ルートボックスはギャンブルではない」と発表しました。

参照:フランス、ルートボックスについてのレポートを公開―「ギャンブルではない」 / Game*Spark

若年者への影響はあるものの、ルートボックス自体には、「何らかの見返りを常に提供している」「入手したアイテムが現実の価値を持たない」という点からギャンブル性を否定しました。

■イギリス

イギリスでは、2017年11月25日にイギリス政府の賭博委員会が「ルートボックスは賭博に当たらない」との公式声明を発表しました。

参照:「ルートボックス」は賭博に当たらない、イギリス政府の賭博委員会が公式声明を発表 / doope!

イギリス政府は、オンラインで集まった1万5,000人の署名を発端に、子ども向けビデオゲーム内で行われるルートボックスが賭博行為に抵触するかを賭博委員会やビデオ規格委員会、PEGI評議会と共に調査していました。その結果、ルートボックスから得られたアイテムの使用はゲーム内に限られ、現金化できないことから、ルートボックスは賭博に相当せず、イギリス政府の法的権限は今回の問題に介入できないと発表しました。

■ニュージーランド

ニュージーランドでは、2017年12月20日、ギャンブル規制担当省庁が「ルートボックスはギャンブルに該当しない」との判断を示しました。

参照:ニュージーランドのギャンブル規制担当省庁、ルートボックスはギャンブルに該当しないと判断 / IGN JAPAN

2013年に成立したギャンブル法が定めたギャンブルの定義を満たしておらず、ギャンブルに該当しないとの判断がなされました。

ルートボックスを「賭博にあたる」とした国々

「賭博に当たらない」という公的な発表がなされる中で、「賭博に当たる」と判断した国もあります。

■オランダ

オランダでは、2018年4月23日に同国の賭博当局により、複数のゲームのルートボックスが賭博に当たるとして8週間以内(6月20日まで)の改善を命じました。対象となったパブリッシャーや開発者が改善に応じなかった場合は、販売禁止や成人ゲームへの指定などの処分が下ると発表しています。

参照:オランダ政府がルートボックス問題に関連して,複数の人気タイトルに改善を命令 / 4Gamer.net

賭博に当たるとした理由は、ルートボックスでのアイテム出現が運に依存しているほか、ルートボックスから排出されるゲーム内アイテムが現金化、もしくはそれに類するものへの換金が可能な点を問題視しており、アイテムが譲渡可能であれば法律違反としています。

さらに6月21日には、ルートボックスの規制の執行開始を宣言しました。

参照:オランダ、ルートボックス規制の執行を開始 / IGN JAPAN

これを受けて、対象となったパブリッシャーのうちValveは、同社が運営する『Counter-Strike: Global Offensive』(以下、CS:GO)『Dota 2』の2タイトルについて、Steamコミュニティマーケットでのゲーム内アイテム取引・売買機能をオランダ国内にて停止しました。

参照:Valveがオランダにて『CS:GO』『Dota 2』のSteamマーケット取引機能を停止。同国でのルートボックス規制開始を受けて / AUTOMATON

一方で、オランダ賭博当局は、ルートボックスが搭載されていてもそこで獲得したアイテムの売買を可能としていないゲームに対しては、現段階では違法性はなく賭博には当たらないとしています。

■ベルギー

オランダに続きベルギーでも、2018年4月25日にベルギー賭博委員会がルートボックスを提供する「Overwatch」「FIFA 18」「Counter Strike:Global Offensive」の3つのゲームに対して違法と認定しました。

参照:ベルギーで『FIFA 18』などのルートボックスが賭博法違反と認定。ゲームのガチャはギャンブル? / Engadget 日本版

この3つのゲームのうち、「Overwatch」はルートボックスは搭載されていますがゲーム内でのアイテム取引は許容されておらず、オランダでは賭博に当たらないとされたものです。
その意味で、ベルギーのルートボックスに対する規制はオランダよりも更に厳しいものになっています。

なお、ベルギーの賭博委員会は『Star Wars Battlefront Ⅱ』も調査の対象としたものの、その時点ではルートボックスが除去されていたため、処分を免れました。

アメリカの対応

ハワイ州の対応

2017年11月21日、ハワイの州議会議員・Chris Lee氏がハワイ州を代表する声明として「ルートボックス」を批判しました。

参照:ハワイ州が「ルートボックス」を批判する姿勢を表明。『スターウォーズ バトルフロント2』を「オンラインカジノ」と表現、販売停止求める / AUTOMATON

同氏は、ルートボックスを「子どもにお金を使わせるように仕向けるオンラインカジノである」と発言。ハワイ州では「ルートボックス導入済みの製品に年齢による購入制限を取り入れる」「ルートボックスが導入済み製品のパッケージや説明文に警告表示を義務付ける」という2組4つの具体的な法案が提出されました。
この2組の法案が通過した場合、主にアメリカやカナダで販売されるゲームのレーティングをおこなっている非営利団体ESRB(エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会)の基準が大きく変わる可能性があり、世界に対してさまざまな影響が考えられます。

エンターテインメントソフトウェア協会(ESA)

2018年5月29日、アメリカの業界団体ESA(エンターテインメントソフトウェア協会)の会長Michael Gallagher氏が、ルートボックスは賭博に該当しないとコメントしたと報じられました。

参照:ESA会長が“ルートボックス”に擁護の姿勢―「規制は業界の自由な革新への挑戦」「賭博ではない」 / GameBusiness.jp

同氏は、ルートボックスの仕組みについて問題になる以前から存在していると主張。「ルートボックス」はプレイヤーに対し何らかの見返りを必ず提供するためギャンブルではない」として、ルートボックスを擁護する発言をしています。

レーティング団体ESRBの動き

ESRB(Entertainment Software Rating Board)は2017年10月、ルートボックスは賭博に該当しないとコメントしていましたが、2018年2月27日、ゲームパッケージのコンテンツラベルに「In-Game Purchases(ゲーム内課金)」の有無を追加すると発表しました。

参照:米レーティング団体ESRB、ゲームパッケージに「ゲーム内課金」の有無を明示へ。ルートボックスへの懸念高まる中「第一歩」と主張 / AUTOMATON

これは、ハワイ州でルートボックスに対する法案が提出されているほか、2018年2月15日にアメリカ上院議員のMaggie Hassan氏がESRBに対してルートボックスを念頭に置いたレーティングプロセスの見直しなどを求めていたことに対応した形です。

参照:「ルートボックス」問題に進展―米国上院議員がESRBに働きかけを求める、政府の直接関与示唆も / Game*Spark

しかし、今回追加されることになった「In-Game Purchases」は、実際のお金で購入できるゲーム内のあらゆるコンテンツを対象にしています。
そのため、現在販売されているほとんどのゲームが対象となり、ギャンブル性が指摘されていないものまでも、まとめてラベリングすることに疑問の声もあがっています。
ESRBは、「これは最初のステップ。フィードバックを受けながら検討していく」とTwitter上で表明しています。

中国の対応

中国は『STAR WARS バトルフロント II』リリース以前の2016年12月に、中華人民共和国文化部が有料ガチャにおける提供割合の可視化を要求する法令を発布しており、法的規制による監視を行っています。

参照:中国政府がオンラインゲームにおけるガチャ確率の公開を要求へ、呼びかけ続く国内動向と欧米の反応 / AUTOMATON

まとめ

このように、ルートボックス(ガチャ)がギャンブルに当たるか当たらないかという判断はまだ揺れており、今後も各国の動向を注視する必要があります。
しかし、ルートボックスを違法であるとして厳しい対応を行ったオランダとベルギーがどちらもEU加盟国であることに注意が必要です。EUは市場統合とともに、EU域内での制度の共通化を目指しており、このオランダとベルギーの判断がEU域内のルートボックスの判断に影響を及ぼす可能性は大いにあると思われます。

アディッシュはEU圏でのアプリのカスタマーサクセスを支援しています。ルートボックスの問題はもちろん、EU圏における各種法的な問題を注視しながら、お客様のアプリの成長を支援いたします。お気軽にご相談ください。