コラム2018.07.17
夏に気になる健康は早い時期から対策?人気の「ヘルスケア」アプリを調査。カスタマーサポートの重要性も

2018年は例年になく梅雨の短い地域が多く(関東では観測史上初の6月の梅雨明け)、各地で本格的な夏が到来しています。長く暑い季節を乗り切るために健康を意識する人も増えているでしょう。
そこで今回は、体力増進や快眠、ダイエット等の「ヘルスケア」アプリにフォーカス。夏の足音が聞こえてくる5月にさかのぼり、ダウンロード数とアクティブユーザー数から夏に利用頻度の上がりそうなアプリを探りました。また「ヘルスケア」アプリのダウンロードが集中する時期も調査。キャンペーン戦略の参考にご利用ください。
「睡眠/快眠」系アプリのダウンロードが最大。その他「ダイエット」系、「体力増進」系アプリが人気
2018年5月のApple App Store「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリのトップ10には、大別して次の3タイプのアプリに人気が集まっていました。
1つ目のタイプは「睡眠/快眠系」アプリ。ダウンロード数トップ10の中では「Sleep Meister Lite」「寝たまんまヨガ 簡単瞑想」「Sleep Cycle alarm clock」「ぐっすリン-快眠音でリラックス!」が該当します。これらのアプリの特徴は、端末に内蔵された加速度センサーを用いている点。人の体動を感知し、眠りの浅い(レム睡眠)時にアラームを鳴らすことにより、快適な目覚めを促します。またヨガを活用して、睡眠導入、疲労回復、気持ちのリフレッシュに役立てるアプリもあります。このタイプのアプリはダウンロード数が最大で、睡眠による体調管理を考えているユーザーが多いことが推察されます。
2つ目のタイプは「ダイエット系」アプリ。「FiNC AIとダイエット」「あすけんダイエット」が該当します。特に「FiNC AIとダイエット」は、最先端AI(人工知能)テクノロジーを駆使したサービスとして注目されています。、ユーザーが個別登録した毎日の食事・睡眠・運動・悩みといったデータの蓄積から、美容・健康のアドバイスをします。「あすけんダイエット」は毎日の食事記録を管理栄養士が分析し、無理なく健康的なダイエットをアドバイスをしてくれるアプリです。
3つ目のタイプは「体力増進系」アプリ。トップ10では「SPOBY」と「Nike + Run Club」が該当します。気候の良い5月から夏にかけてランニングを開始するユーザーが多いと考えられます。
トップ10にランクインした他のアプリは、美容系の「肌パシャ」と視力回復系の「視力回復地獄」です。「肌パシャ」は、肌をカメラで撮影すれば、肌年齢と対処法を教えてくれるアプリです。「視力回復地獄」はゲーム感覚で視力の回復をサポートします。
「ヘルスケア」アプリ/2018年5月ダウンロード数トップ10(国内Apple App Store)

ダウンロードは本年5月に集中。各社、夏に向けたPR・プロモーションを実施
「ヘルスケア」アプリのダウンロードが増加する時期を、3月20日から6月20日で調べてみると、5月に集中していました。夏に向けて徐々に増えていくというわけではないようです。
これはゴールデンウィークのPR・プロモーションの結果であることが推察でき、各社はそのまま夏に向けての利用を期待していることが伺えます。なお「Sleep Meister Lite」「SCOBY」は1日当たり10万に迫るダウンロード数を達成しています。

アクティブユーザー数は睡眠・快眠系の「Sleep Meister Lite」がトップ。ダイエット系の「FiNC AIとダイエット」は夏に向けて徐々にユーザーが増加
利用率を測るために各アプリのDAU(日別アクティブユーザー数)の推移を調べてみました。睡眠・快眠系の「Sleep Meister Lite」が圧倒的なアクティブ数になっていることが分かります。第2位も睡眠・快眠系の「Sleep Cycle alarm clock」です。睡眠による体調管理を考えているユーザーが毎日利用していると推察されます。
またダイエット系の「FiNC AIとダイエット」は、ダウンロード数と同様に夏に向けて徐々にアクティブ数が増加しています。夏本番までに理想の体型になりたいユーザーが増加していると言えるのではないでしょうか。

「ヘルスケア」アプリは利用が始まると長く愛される傾向。不満を持たれないような手厚い施策が求められる
「ヘルスケア」アプリは、睡眠・快眠系の「Sleep Meister Lite」のように蓄積したデータを活用して最適化を図るものや、「FiNC AIとダイエット」のようにAIで精度を高めるものが増えてきました。継続することでユーザーの得られるメリットが高まるアプリと言えるでしょう。
このように近年は、ユーザーの継続利用を促す機能を備えたアプリが増えました。またサポートを強化するパブリッシャーも見られるようになりました。
サポートの現場に寄せられるお問い合わせの大半は初期の設定方法や起こっている不具合、非対応端末等に関連するものです。これらは公開情報を見て自己解決できる類のものが多いので、スクリーンショットや動画を採用したユーザー目線での分かりやすいヘルプやFAQを充実させると良いでしょう。それによって不満の声は軽減されることがよくあり、継続利用につながります。
「ヘルスケア」アプリは競合も多いため、何らかの理由で利用をやめてしまうと、なかなか再度の利用は期待できないものです。
提供企業はアクティブではなくなったユーザーのリテンションの図り方や、不満を持ったユーザーのカスタマーサポート、ソーシャルメディア上で投稿されるネガティブな投稿のサポートを戦略的に考える必要があります。
PRIORI DATAとは
「PRIORI DATA」は、2013年設立、ドイツ、ベルリンに本社を持つ、スマートフォンアプリ市場分析データ会社です。Apple App Store、Google Play上でランキングされている全アプリの推定ダウンロード数、売上金額データを提供しています。提供データ可能国数は57カ国で、ゲーム・サブカテゴリを含む全カテゴリのデータを提供可能です。スタートアップのアプリ開発会社でも購入できる価格帯で、無料トライアルも可能です。国内ではCESA監修「CESAゲーム白書2017」、モバイルコンテンツフォーラム監修「スマホ白書」、「ファミ通モバイルゲーム白書」の公式モバイルデータとして採用されています。また昨年6月からはASO(アプリストア最適化)のデータも追加され、さらに本年から日本を含めた55ヵ国でアクティブ率(DAU・MAU)、デモグラフィックデータ等が追加される予定です。 詳しくは、http://www.prioridata.net/をご覧ください。