東南アジアのデバイスシェア・ネット環境を調査。ゲームやアプリはどのような環境でプレイされている?

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東南アジアのデバイスシェア・ネット環境を調査。ゲームやアプリはどのような環境でプレイされている?

前回の記事にて東南アジア発のユニコーン企業アプリ8選(※)を紹介しましたが、今、世界では東南アジアをターゲットにしたアプリ配信に注目が集まっています。しかし、最新の技術を取り入れたアプリを東南アジアに向けて配信しても、デバイスやネット環境が問題となり、利用できないという問題が起こりえます。そこで本記事では、東南アジアにおけるデバイスシェアおよびネット環境を調査するとともに、各国のインターネット接続トレンドやアプリ配信の際に考慮すべきことについて紹介します。

東南アジアにおけるデバイスシェアとアプリの適合性

東南アジアではどのようなデバイスが利用されているのでしょうか。また、それらのデバイスを用いて最新アプリを利用することは可能なのでしょうか。いくつかのデータをもとに検証します。

東南アジアの主要携帯端末

表1は、東南アジアの主要5か国のデバイス(スマートフォン)シェアの一覧です(参照:The most popular smartphones in 2019 / DeviceAtlas)。Apple、SAMSUNG、Huawei、Oppo、Xiaomiなどの企業が発売するデバイスが主に利用されていることがわかります。シンガポールでは、AppleのiPhoneⅩやSAMSUNGのGalaxy note 9といった比較的新しいデバイスが上位を占めますが、他の国では数年前に発売されたデバイスが上位を占めます。

表1 東南アジア5か国における2019年のデバイス(スマートフォン)シェア(DeviceAtlasのデータをもとに作成)

主要携帯端末のスペック

これらの主要デバイスの中でも、今回は各国で広く使用され、フィリピンで1位、マレーシアで2位に挙がっているiPhone6と、インドネシアで1位、マレーシアで4位に挙がっているSamsung Galaxy J2 Primeを調査のための基本スペックのデバイスとして抽出します。

表2 各デバイスの基本スペック(Device Specificationsのデータをもとに作成)

Galaxy J2 Primeは東南アジアを中心に発売されたSAMSUNGのエントリーモデルです。iPhone 6と比較した記事によると、カメラ性能に関してはiPhone 6、オーディオとバッテリー性能に関してはGalaxy J2 Primeが優れていると報告されていますが、アプリ利用に関係するデバイスのパフォーマンスに関しては、両デバイスはほぼ同程度です(参照:Apple iPhone 6 vs Samsung Galaxy J2 Prime / versus)。これらのことを総合的に考えると、東南アジアで人気が高いデバイスの性能は、iPhone 6と同程度、もしくはその前後といえそうです。

Apple iPhone 6とSAMSUNG Galaxy J2 Primeの比較(Versusより)
Apple iPhone 6とSAMSUNG Galaxy J2 Primeの比較(Versusより)

アプリの適合性

最近人気のアプリは、iPhone 6のスペックに対応しているのでしょうか。アプリを利用する際には、デバイスのiOSバージョンが推奨バージョン以降のものになっているかどうか、また、端末自体の互換性があるかどうかを確認する必要があります。そこでappios.netの2019年10月29日時点での「App StoreのiPhoneの人気無料アプリランキングトップ400」および「App StoreのiPhoneの人気有料アプリランキングトップ400」の中から、トップ10にランクインしているアプリのiOS推奨バージョンと端末の互換性の一覧を以下の表にまとめました。

表3 日本のApp StoreのiPhoneの人気無料アプリのトップ10(2019年10月29日現在)

表4 日本のApp StoreのiPhoneの人気有料アプリのトップ10(2019年10月29日現在)

表3および表4より、iPhone6は上記に記載されているアプリに対して互換性を持つことが分かります。また、iOS12.0のサポート対象機種にiPhone 6は含まれているため、推奨iOSに関してもすべてのゲームにおいてクリアしているといえます。

まとめると、現在、東南アジアで上位のシェアを占めるデバイスは、基本的には最近配信されたアプリや人気のアプリの多くに対応しているといえます。しかし、よりハイスペックのデバイスが必要とされるアプリがリリースされた際には、東南アジアの主要デバイスでは対応できなくなる可能性が考えられます。東南アジアをターゲットとしてアプリを配信する際には、東南アジアで利用されている主要デバイスのスペックを考慮に入れた上で配信することが重要です。

東南アジアにおける携帯電話のネット環境

アプリを利用する際に重要なもう1つの要因がネット環境です。そこで、アプリ利用の際にメインとなる携帯電話(主にスマートフォン)のネット環境を確認していきます。

表5は、東南アジアにおける各国の携帯電話のネット環境一覧です(参照:THE 5G OPPORTUNITY / OPENSIGNAL)。これによると、シンガポールは優れた回線速度を有しているのに対し、フィリピンやカンボジア、インドネシア、タイの回線速度は格段に遅くなります。

表5 東南アジアにおける各国の携帯電話デバイスのネット環境一覧(OPENSIGNALのデータをもとに作成)

続いて、ネット環境とアプリの関係について見ていきます。

まず、アプリダウンロード時およびアップデート時に関する情報から見ていきましょう。
スマートフォンで遊べるハイクオリティロールプレイングゲームとして話題になった「メビウス ファイナルファンタジー」は、初回ダウンロード時に標準画質版で約500MBのデータダウンロードが必要となると公式ページで紹介されています。例えばフィリピンの最低Mbpsである6.9Mbpsで500MBのデータダウンロードを行う場合、理論上は580秒かかります(6.9Mbps=0.8625‬Mbytes/秒 500Mytes÷0.8625‬Mbytes/秒=約580秒)。約10分間のダウンロードが必要になると考えてよいでしょう。また、ゲームを最後まで遊ぶためには約10GBのデータをダウンロードする必要があるという情報もあり(参照:『MOBIUS FINAL FANTASY』のレビューと序盤の攻略 / ドットアップス)、10GBをダウンロードするためには単純に20倍の200分が必要となります。しかし、初回ダウンロード型のアプリは一度アプリをダウンロードしてしまえば、通常利用時のデータ通信量は比較的少なく抑えることができるため、ネット環境が多少悪くてもプレイできることが特徴です。後述しますが、東南アジアでは無料でWi-Fiを利用できる場所も多いため、各家庭ではネット環境が整っていなくても受け入れやすいアプリの形になっている、といえるのではないでしょうか。

次に、アプリの通常利用時に必要となるネット環境ですが、各アプリでは実際にどの程度のネット環境が必要であるかは明らかにされていません。しかし、スマートフォンの通信速度と利用可能機能の関係を調べた調査によれば、200kbpsでLINEやメールの確認、1Mbpsでウェブサイトの閲覧や低画質のYouTube動画の閲覧ができ、ポケモンGOを始めとしたARゲームをする際は10Mbpsが望ましいところですが、3Mbpsでも問題なくプレイすることができると報告されています(参照:スマホの通信速度の目安は上り下りどれくらいあればいい?Mbpsの意味を解説! / au to MVNO)(参照:快適な回線速度の目安いはたったの10Mbps! インターネットの実測速度ってあまり必要なかった話 / 朝昼夜ネット)。

これらのことから、上記の表5で最も低かったカンボジアの3.7Mbpsでも、安定してデータが供給されている場合であれば、現行のほとんどのアプリは利用可能といえるでしょう。

東南アジア各国における接続トレンドと注目ポイント

これまでは東南アジア全体を見てきましたが、下記では東南アジアの中でも今後、アプリ市場が拡大すると考えられているシンガポール、インドネシア、フィリピンの3か国について詳しく見ていきます。

表6 東南アジア3か国におけるデジタル情報まとめ(参照:Gigital 2019 / we are social)

シンガポール

東南アジアで最高レベルのネット環境を備えているといわれているのがシンガポールです。シンガポールの人口は500万人を超える程度ですが、東南アジアのITの中心地として知られており、世界的にも有名なユニコーン企業を多く排出しています(参照:東南アジア発ユニコーン企業アプリ8選+注目アプリ2選と各カスタマーサービス状況 / Social App Suuport – adish)。

上記で述べたように、シンガポールでは最新のデバイスを利用する人々が多いことが特徴です。またシンガポール国内では、ホテル、空港、ショッピングモール、カフェなど無料でWi-Fiを利用できる場所が多く、政府が提供しているWi-Fiサービス「Wireless@SG」も普及していることから、最新の機能を取り入れたアプリや初回ダウンロードに大量のデータ容量を必要とするアプリであっても、容易に利用することができるでしょう(参照:Where to Get Free Wifi in Singapore – Guide to Free Internet Spots / Yahoo!finance)。

最新のデバイスが陳列されているシンガポールのデバイスショップ(dreamstimeより)
最新のデバイスが陳列されているシンガポールのデバイスショップ(dreamstimeより)

モバイルデータ利用に関して、シンガポールの代表的な通信会社Singtelの1プランを参考にすれば、10GBのデータを利用できる月額プランが19.9シンガポールドル(2019年11月1日現在のレートで1582円)です(参照:Singtel)。他の東南アジアと比べると比較的高めのプラン設定ですが、シンガポールは東南アジアの中で最も賃金が高い国でもあるため(参照:アジア・オセアニア各国賃金比較 / 三菱JFJ銀行)、無料Wi-Fiサービスとともに定額データプランを利用している人が多くいます。また、近年多くのデータ通信量が必要なアプリや動画が増えてきていることから、各社が大容量のデータプランを発売するようになってきました(参照:The Best Data Plans from Singapore Telcos – SIM-only Plans vs Phone Plans (2019) / MONEY SMART)。

まとめると、シンガポールにおいては最先端の性能を取り入れたアプリでも十分利用することができると考えられます。また、経済的にも安定していることから、課金による収益も期待できます。しかしながら、総人口の少なさはアプリ配信の際の大きなネックといえそうです。実際、シンガポールで開発されたアプリの多くは東南アジア各国にまたがって配信することで大きな成功を収めています(参照:東南アジア発ユニコーン企業アプリ8選+注目アプリ2選と各カスタマーサービス状況 / Social App Support – adish)。シンガポールにアプリを配信する際には、英語圏へのアプリ配信を同時に考えるか、もしくはアジア全域でのアプリ配信を見越した上で実施することが望ましいでしょう。

インドネシア

東南アジアで最も多くの人々が暮らしているのが、2億6820万人という世界4位の人口を有するインドネシアです。インドネシアではタブレットやパソコンの所有率が低いため、多くの人々が携帯電話をうまく活用しながら生活しています。実際、インドネシアではgojekやtokopedia、travelokaなど、アプリ配信によってユニコーンの仲間入りをする企業も登場し、インドネシアでのアプリ配信に世界から注目が集まっています(参照:東南アジア発ユニコーン企業アプリ8選+注目アプリ2選と各カスタマーサービス状況 / Social App Support – adish)。

インドネシア発の人気配車アプリgojek(gojekより)
インドネシア発の人気配車アプリgojek(gojekより)

インドネシアでは、都市部のショッピングモールやカフェ、レストランなどで無料のWi-Fiサービスが利用できますが、電波が弱いことに加え、多くの人々が同時接続することで通信速度がさらに低下するため、大容量のデータを短時間でダウンロードすることは困難です。また、地方では無料のWi-Fiスポットが少ないという問題もあります。自宅にWi-Fiを設置することも可能ですが、現地の人々にとっては非常に高価な方法であり、普及率は高くはありません。

モバイルデータ利用に関しては、いくつかの会社がさまざまなプランを準備していますが、インドネシアの代表的な通信会社TELCOMSELでは、1か月で15GBのデータを利用できるプランを100,000ルンピア(11月1日現在のレートで770円)で提供しています(参照:TELCOMSEL)。日本と比べると安く感じますが、インドネシア国民の給料事情からすると、これは非常に大きな支出となります。そのため定額のプランではなく、必要なときに追加のデータを購入するプリペイド利用が一般的です(参照:経済格差大国インドネシアのスマホ事情とクラウドサービスの普及 / iPhone 格安SIM通信)。

まとめると、インドネシアにおいては、安定したネットワークのもとでハイスペックのアプリを利用できるのは一部の限られた人のみだといえそうです。インターネットの利用率も56%と低く、今後はインフラ整備が中心に進むと考えられます。そのため、大衆向けには初回のデータダウンロードおよびアプリ通常利用時のデータ通信量が抑えられるアプリの需要が高まると考えられます。パソコンやタブレットの普及率が低いことからも、携帯電話がインドネシア国民の生活により深く関連していくと予想されます。インドネシアの現状を踏まえた上で、生活に役立つ、もしくは余暇を充実させる優れたアプリ配信を行うことができれば、多くのファンの獲得に繋がるのではないでしょうか。

フィリピン

国民の1日のインターネット利用時間が世界で最も長いと報告されているのがフィリピンで、その時間はなんと10時間2分(参照:Gigital 2019 / we are social)。現在、1億人を超える人口を有するうえに、今後の人口の増加も期待されています。また、英語が公用語の1つであることからアプリ配信を比較的容易に行うことができるため、東南アジアでも特に注目を集めている国の1つです。

フィリピンでは、固定式Wi-Fiサービスを利用する家庭が増えてきたことからインターネットの利用率が高くなってきていますが、使い放題プランではなく5Gや10Gといったデータ制限のあるプランを利用している家庭が多いため、データ使用量を常に気にしながら利用しているのが実情です。また、大型のショッピングモールやカフェ、レストランなどで無料のWi-Fiが利用できますが、通信速度は利用者の人数や時間帯、天気などによって大きく左右されます。そのため、大容量のデータをダウンロードするためには回線速度の速いWi-Fiを備えた場所を探して利用するか、モバイルデータを利用する必要があります。フィリピン政府主導の無料Wi-Fi拡大計画が進められていますが、フィリピン全域に到達するにはまだまだ時間がかかりそうです(参照:GOVPH)。

すべての人に無料Wi-Fiサービスを届けるフィリピン政府のプロジェクト(GOVPHより)
すべての人に無料Wi-Fiサービスを届けるフィリピン政府のプロジェクト(GOVPHより)

モバイルデータ利用に関しては、いくつかの会社がさまざまなプランを準備しています。フィリピンの主要通信会社の1つであるSmartでは、899ペソ(11月1日現在のレートで1916円)で8GBのインターネットが利用できるプランが準備されていますが(参照:Smart)、これは現地の人々からすると非常に高額なプランです。フィリピンではインドネシアと同じように、データを利用する際のみに追加のデータを購入するプリペイド利用が一般的です。そのため、いつでもどこでもインターネットを利用できる人は一部の限られた人のみといえます。

まとめると、初回ダウンロード型のアプリに関しては無料Wi-Fiサービスをうまく活用することでダウンロードをすることができますが、アプリの通常利用時に必要となるデータ通信がネックとなると考えられます。フィリピンで人気のSNSはFacebookですが、フィリピンではSIMカードを所有していればFacebookの一部の機能が無料で利用できるという実情も大きく関係しています。多くの人々は、常にインターネットにアクセスできるデータを所有しているわけではないため、データ通信を無料で利用できるFacebookに自然とアクセスが集まるわけです。フィリピンをターゲットにアプリを配信する際には、これらフィリピンの事情を加味した上でのアプリ開発が重要といえそうです。

その他の形でのアプリ配信の可能性

近年、デバイスのスペックが低くてもハイスペックなゲームが楽しめることで注目を集めているのが、「Stadia」を始めとするクラウドベースの配信形式です。しかしながら、クラウドベースの配信方式は、デバイスのスペックに影響を受けない反面、通信速度の影響を強く受けます(参照:Stadiaがゲーム業界に新しい波を引き起こす!? Google発クラウドゲーミングサービス「Stadia」とは / Social App Support – adish)。シンガポールのように優れたネット環境を確保できている国であればクラウドベースによるアプリ配信の可能性もあるといえますが、ネット環境に関して大きな問題を抱える東南アジアの国々においては、普及に時間がかかるのではないかと予想できます。

一方、東南アジアの国々を対象に無料アプリゲームを提供しているBAZAAR ENTERTAINMENTは、アプリを無料で提供するだけでなく、通信費用を企業側がすべて負担するという仕組みを取り入れることで、東南アジアにて急速に知名度を高めています。通信費無料の仕組みにより低所得者層においてもアプリゲームを楽しめる基盤を作ったのです。

アプリダウンロード無料、通信費用無料でサービスを提供するBAZAAR ENTERTAINMENT
アプリダウンロード無料、通信費用無料でサービスを提供するBAZAAR ENTERTAINMENT

また、以前の記事(東南アジア発ユニコーン企業アプリ8選+注目アプリ2選と各カスタマーサービス状況)で紹介した東南アジア発のアプリ「iflix」は、低価格での動画提供に加え、少ないデータ容量で動画を視聴できることを特徴としており、東南アジアおよび周辺地域において急速に人気が高まっています(参照:ABOUT IFLIX / iflix blog)。

これらのことからも、東南アジアをターゲットにアプリを配信する際には、現地のネット環境やデバイスの現状、また人々の声を取り入れることでローカライズされたアプリを提供することが成功の秘訣といえるでしょう。

終わりに

東南アジアをターゲットにアプリを配信する際には、少なくとも現地で普及するデバイスやネット環境を知ることが重要だと分かりました。東南アジアにおいて成功を収めるためには、上記をふまえて現地の人々の生活スタイルに適合したアプリを配信する必要があります。

東南アジアの国々はそれぞれ異なる文化や言語を持っています。彼らの生活にローカライズしたアプリを開発し効率的に運営していくためには、東南アジアのことをよく知ることはもちろん、多様な言語、文化に対応できるカスタマーサポートが重要になります。

弊社・アディッシュでは、15を超える言語にて多言語によるカスタマーサポートの支援・代行を行っており、カスタマーサポートのローカライズ・カルチャライズも実施。365日の対応が可能です。弊社のようなカスタマーサポート代行サービスを利用することで、東南アジアへのアプリ進出が容易になることと思います。東南アジアを始めとした世界各国へのアプリ進出を考えていらっしゃる方は、ぜひ一度、弊社までお気軽にご連絡ください