コラム2018.10.16
カスタマーサポート運用代行会社が解説するサポート体制の運営方法

カスタマーサポートの体制はどのように構築すればよいのでしょうか。今回は弊社が提供するカスタマーサポートの運営体制を例に、カスタマーサポート設計の一連の流れや、体制、サポートチームを管理するSV(スーパーバイザー)の業務について解説します。
前回ご紹介した「カスタマーサポート運用代行会社が解説するサポート品質の向上のポイント」と合わせてご覧ください。
カスタマーサポート設計の一連の流れ
【サポート開始前】
アプリなどをリリースすると、ユーザーからの問い合わせは、どんなにユーザーライクで使いやすい仕様でも、発生するものです。リリース作業はもちろん大切ですが、カスタマーサポートの準備は同時に進めておく必要があります。弊社ではSV(スーパーバイザー:カスタマーサポートのチーム管理者)が中心となって運用周りの設計を推進していきます。実際に弊社のクライアントとの運用設計もSVが担当します。
サポート開始日までに済ませる準備は多数ありますが、一般的には各種運用フローの構築、基本的な対応方針の調整、想定FAQの作成、サポートに利用するツール(電話やメール、チャット、CRM等)の選定、対応メンバーのアカウント設定などです。
カスタマーサポートの設計で難しいのは、リリース後にどのくらいの問い合わせが発生するかを予測すること。弊社の場合は、サービスのアクティブユーザー数、事前登録数及び類似サービスの運用実績から、問い合わせ規模の予測を行っておりますが、自社で実施する場合は、多めに予測しておくことをおすすめします。
また、リリース直後の緊急不具合などに対して、事前に緊急連絡フローも設けておくといいでしょう。
アカウントやFAQリストの用意ができたら対応チームのメンバーに研修を行ったり、実機検証などで仕様把握を進めます。とはいえ、想定FAQを作ったとしても、実際にユーザーから届く問い合わせは、想定外のものも多くあるものです。サポート開始から1~2ヵ月は、運用をしながらフローや対応方針を調整していくように考えておきましょう。
運用フローの一例

【サポート開始後】
カスタマーサポートはユーザーの声を集計できる貴重な場です。特に多い問い合わせの内容は、サービスの改善に生かす材料になります。プロダクトオーナーや開発メンバーと定例会を開き、集計したデータから改善提案をします。
提案の際に大切なのは、カスタマーサポートの視点と、ユーザーの視点の両方を持つこと。安定したサポート運用を実施するためだけの提案では、新たな機能の追加を考えるプロダクトオーナーや開発メンバーの足を引っ張りかねません。どうしてもオペレーションのために必要なもの、ユーザーニーズが考えられるもの、両方を提案するようにしましょう。
レポートのサンプル

カスタマーサポートの体制
カスタマーサポートの体制は企業によって異なりますが、弊社の例を参考にご紹介します。複数のサービスでカスタマーサポートを実施する場合には、同様の体制を取る場合があります。
プロダクトオーナー | カスタマーサポートの対象となるサービスの責任者 |
国内、海外運用統括 | カスタマーサポート全体の管理業務が主になります。予算管理、部門の方針などの取り決め |
各拠点統括SV | 各拠点の予算管理、方針の決定、SV管理などの業務を担当 |
各チームSV | チームメンバーの管理、集計、部門や統括から依頼のあった業務の遂行 |
チームリーダー | チームSVから依頼のあった業務の遂行、チームメンバーの管理 |
チームメンバー(スタッフ) | 実際にユーザーからの問い合わせに対応するメンバー |
なお、一つのプロダクトでカスタマーサポートをする場合は、以下のようなケースが一般的です。
プロダクトオーナー | カスタマーサポートの対象となるサービスの責任者 |
SV | チームの管理、対応案件の管理、集計、サービスの方針を把握し、メンバーへの伝達 |
チームリーダー | チームメンバーの管理、SVの依頼の遂行。SVが兼務する場合もあり |
チームメンバー(スタッフ) | 実際にユーザーからの問い合わせに対応するメンバー |
大規模なサービスや特殊なSLAを要する場合は、専属チーム(チームリーダー以下のメンバーで構成されたチーム)で対応するのが基本です。しかし、小規模な複数サービスの場合は3~10名程度のシェアチーム(※)で対応することがあります。
※シェアチームとは
複数のクライアントに対応する専用チーム。小型サービスを複数持ってまわすことになります。
SVの業務内容
SVの業務内容は一言で表すなら「チームのマネジメント」です。しかし実際には以下のように多岐にわたります。
プロダクトオーナーへの対応 | 新規サービス受け入れ時の調整、対応方針及び都度依頼内容の確認、各種数値レポート作成、提出、重篤案件発生時の緊急連絡など |
各種調整 | 運用体制の適正化、対応フロー作成、ルールまとめ、チーム周知など |
人材育成 | 会社、チームにマッチするかの見極め ・チームメンバーの採用 ・リソース管理・新人研修、クオリティアップ研修、誤対応研修、レビューなど |
効率化施策 | 工数が過剰にかかっているフローの見直しなど |
他のチームとの連携 | 他のチームの好事例、予防策の取り込み |
まとめ
今回は弊社を例にカスタマーサポートの一連の流れ、体制、SVの業務内容について紹介しました。実際にはさらに多くの業務内容、組織やサービスによって異なる仕組みがあります。
弊社へカスタマーサポートを相談したい方は、お気軽にご連絡ください。