コラム2014.05.22
中国向けゲーム開発中の方必見! 中国レンレンゲームに聞くパートナー選定時のポイントと中国モバイルゲーム市場の今

中国が巨大マーケットであることは既に周知の事実。5月5日に発表されたSUPERDATAのデータによると、2014年中に30億ドル(約3070億円)の売上になるとされておりアメリカの32億ドルに追いつく予測されています。
その中国ではゲームのリリースが許認可制になっており日本企業単体ではとても難しく、優秀なパートナーの選定が成功のカギとなっています。 「なかなか良いパートナーと出会えないんです・・」という声をちらほら聞きますが逆に中国のパブリッシャーはどのようなことを考えているのでしょうか? 今回は中国レンレンゲームで海外ビジネスディベロッパーとして海外のディベロッパーの選定を行い、過去には中国最大のゲームショー「ChinaJoy」でGeneral Managerとして活躍し中国のゲーム事情に詳しいSimon Zhu氏にインタビューし、中国市場を狙う海外ディベロッパーに期待すること、及び中国市場の特徴について聞いてみました。

コアゲームの課金率の高さ、中国人が知る有名な小説が成功の鍵
– ざっくばらんにお伺いしますが、海外ディベロッパーとお話される際レンレンゲームではどのようなゲームを探しているのでしょうか?
「ゲームジャンルとしてはミッドコアからハードコアゲーム及びカジュアルゲームを狙っています。コアゲームには日本のガチャやバトル/アリーナ、PvP/PvEやギルド等課金を促すシステムが多く組み込まれております。またユーザーも時間をかけてプレイするので中国でも売上が多いゲームジャンルです。」
– なるほど、そこは日本に似ていますね。カジュアルゲームはどうですか?
「これも日本と似ていると思いますがカジュアルゲームは短い時間でゲームをプレイできるので地下鉄やバスの移動時間や待ち時間でプレイしてもらえ、またユーザーの年齢層も幅広いです。
またカジュアルゲームにはソーシャル機能も重要です。中国の多くのカジュアルゲームではアイテムを共有したり競争したりする等友達や他のユーザーとのインタラクションをする機能を持っています。」
– 中国のユーザーがゲームに対して気にするポイントは何かありますか?
「私の印象ではグラフィックやゲームストーリーを気にするユーザーが多いと思います。例えば”三国志”や”西遊記”のように有名な小説を元にしたゲームはストーリーを既に良く知っているので人気になりました。 またゲームシステムとしては去年日本でも人気のあったカードゲームタイプが良く出ていましたし売れていましたが今年はカードゲームに加えアクションロールプレイングゲームが更に人気になると思います。」

パートナーとの関係性はスムーズな連携とスピード感が重要
– 次に海外のディベロッパーに望んでいることを教えてください。
「私はコミュニケーションを最も重要視しています。どこの国もそうかもしれませんが中国市場はとても特徴的なので多くのカルチャライズを必要とするので私達の意見を受け入れてくれスムーズなやりとりができるとコミュニケーションコストもかからず上手くいきやすいと思います。
またこれもどこの国も一緒ですが特に中国は市場が大きい分国内にも多くのディベロッパーが存在し日々新しいゲームが生まれています。そのためコミュニケーションをスムーズにしカスタマイズや開発スピードを速くしなければすぐにおいていかれてしまいます。」
多岐にわたるアプリストアとプロモーション
– 海外のディベロッパーと話をし、リリースするまでどのようなプロセスになるのですか?
「ディベロッパーとの契約を決めるまで事前調査や事前テスティングを多く行います。事前テストではユーザーアクイジション、マネタイズ、ユーザーがゲームシステムに慣れているか、グラッフィック、キャラクターデザイン等をチェックします。マネタイズに関してはどのくらいのユーザーが課金ユーザーになるか、またどのような課金アイテムがあるか、最初の課金までどのくらい時間(ゲームステージ)がかかるかを必ずチェックします。」
「契約を結んだ後はスケジュールの調整等ありますが他国と異なり重要になるのがどのアプリストアでリリースするか、です。ご存知のように中国ではApple storeは諸外国と同じですがアンドロイドはかなり多くのストアがありゲームのジャンルやコンセプトに合わせ適したストアを選定し交渉することが必要です。その際にはそれらのストアでどのようなプロモーションを行えるかも判断のキーになります。」
– プロモーションのお話が今出ましたが中国モバイルゲームのプロモーション事情についてもう少し教えてください。
「ディベロッパーは今まで以上に多額の予算をプロモーションに割いています。モバイル広告等ももちろんそうですがそれ以外にもテレビ番組や地下鉄広告、バス停の広告等も活用しています。」
私達レンレンゲームに関しては元々人人網(Ren ren wang)というSNSからスタートしているためPC・モバイルで大きなネットワークを持っています。このSNSでは今3億2,000万の登録ユーザーがおり内1億2,000万がマンスリーアクティブユーザーです。
またSNSだけでなく56.comという動画共有サイトがあり2億ユーザーがいます。
そのため私達がゲームを出す時はこれらのソーシャルサイトを活用しユーザーへの露出を増やすことができます。」
– これから伸びる市場だけあり競争もどんどん激しくなりそうですね。大変参考になりました。インタビューにご協力いただきありがとうございました!